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旧芝離宮夜会 by ワントゥーテン 〜ひかりめぐる庭〜

Launch 2025.06.22

OUTLINE

株式会社ワントゥーテンが総合演出を手掛ける「旧芝離宮夜会 by ワントゥーテン」。
7回目を迎える今回は「旧芝離宮夜会 by ワントゥーテン 〜ひかりめぐる庭〜」として2025年5月22日(木)〜25日(日)の4日間にわたり開催しました。

※動画制作中。近日公開

STORY

光と音に包まれ、時空を超えて巡る「ひかりめぐる庭」

江戸の時代、東京湾を望む海だった場所に大名庭園として築かれた旧芝離宮恩賜庭園。
潮の満ち引きによって姿を変える池泉回遊式の構成美、自然の景観を凝縮したような石組や築山、そして四季を彩る木々や草花。
この庭には、江戸の美意識と静謐な時間が今もなお息づいています。

この歴史ある庭園を舞台に、ワントゥーテンは夜の時間にだけ現れる“もうひとつの風景”を描きました。

「旧芝離宮夜会 by ワントゥーテン」は、光と音によるデジタルアートプログラムを通して、訪れる人々が自ら庭を巡り、過去と現在が交錯する瞬間に身を浸す体験です。
「ひかりめぐる庭」というコンセプトに込めたのは、鑑賞者自身が主役となり、光と音に導かれながら歩を進めることで、静寂の中にある美や、自然と人工、歴史と未来が織りなす新たな風景を五感で感じ取ってほしいという想いです。

潮風に包まれるような優しい演出で、庭園本来の佇まいを尊重しながらも、今この時にしか見られない幻想的な世界を描き出しました。

キービジュアル

夜の庭園に佇む着物姿の女性と石灯籠を中心に据え、静謐な時間と感情の流れを表現しました。光の軌跡が、目には見えない物語や余韻を映し出し、幻想的な非日常へと誘います。

背景に広がる闇と光のコントラストは、庭園が“光に包まれる体験”を視覚的に強調。
タイポグラフィは「旧芝離宮夜会」を縦組みにし、日本庭園の格式や静けさを体現。漢字の余白と直線の美しさを活かした構成で、可読性と印象を両立しています。

コンテンツ1:藤棚「棚間の記憶」

かつて海とつながり、潮の満ち引きが感じられたというこの地の記憶。
藤棚に佇む空間は、そんな「海の記憶」を想起させる、見えない風景に想像を巡らせるインスタレーションを目指しました。

木漏れ日が差し込むような柔らかな光、風に揺れる水面の反射のような瞬き。それらを、レーザーとフォグによって偶発的に生み出された光の揺らぎで表現。
自然が持つ不確かさと対比するように、鋭いレーザーの光線が空間を切り取るコントラストが、静と動のあわいを浮かび上がらせます。

レーザーは7種類のグラフィックパターンと5種類のカラーパターンを、一定の間隔でランダムに切り替える仕様とし、偶発性の中にも演出意図が貫かれています。
フォグの発生タイミングや密度も繊細に調整され、空間の呼吸と共鳴するような体験を実現しました。

コンテンツ2:雪見灯籠「石灯の記憶」

汐入の池の岸辺にひっそりと佇む雪見灯籠。
かつて満潮のときにはその足元を水が包み、まるで水面に浮かぶように姿を変えていたその姿に、海と庭園のつながりを感じ取ることができます。

このコンテンツでは、灯籠の周囲に蓄光石を敷き詰め、夜の海原を想わせる水面の煌めきを演出。光の粒が波のように浮かび上がり、照明によって月明かりに照らされたような幻想的な空間が立ち上がります。

照明設計は株式会社アートブレーンカンパニーが担当。自然の力強さと静寂の美が交錯するような、時の重なりを感じるインスタレーションとなりました。

コンテンツ3:枯滝「石組の記憶」

石と築山が織りなす立体的な構成美と自然の摂理が重なる枯滝のエリアでは、「雨が山を潤し、やがて滝となって川を生み、風が吹き抜けて再び山が姿を現す」という自然の循環を、プロジェクションマッピングによって描き出しました。

演出は5分ごとに3つのシーンに切り替わります。

山: 月夜の光に照らされ、枯滝本来の静謐な姿を際立たせる演出。
水: 雨から川の流れ、そして水に包まれるまでの連続的な変化を映像で表現。
光: 光の粒が漂い、幻想的な雰囲気を醸し出すライトアップショー。

本演出では、枯滝周辺を事前にLiDARセンサーで3Dスキャンし、Unreal Engine 5上にてシミュレーション環境を構築。
現地での投影精度を高め、庭園の地形や造形美を活かしながら繊細な映像表現を実現しました。

コンテンツ4:馬場跡「ABC × Kenichiro Nishihara」

過去の旧芝離宮夜会で立ち入ることができなかった馬場跡エリアを初めて回遊エリアとして開放。
ここでは偏光技術を用いた光の演出によって、自然の動きや揺らぎに呼応するような有機的な光が空間を満たします。

照明演出は、光のプロジェクト「艶-en-」「㒯-YOU-」を手がけたABC(株式会社アートブレーンカンパニー)と、作曲家・西原健一郎氏とのコラボレーションによって実現。
豊かな色彩と繊細な音楽が重なり合い、まるで光の花が咲くかのように、場の空気を一変させる体験が生まれました。

自然、音、光が一体となって、"ひかりめぐる庭"を体現する、情緒あふれる景色が広がります。

コンテンツ5:ひかりめぐる庭|ライトアップショー

庭園の中心に広がる大泉水とその周辺の木々を舞台に、“海の記憶を呼び覚ます”をテーマとした5分間のライトアップショーを20分おきに実施。

かつて海とつながり、潮の満ち引きとともに変化していたこの庭の風景に想いを重ね、光で幻想的な時間を描き出しました。

ショーは、時間軸に沿って展開される二つの演出で構成。

ひとつは、光が中央の島や橋から始まり、池、そして庭園全体へと広がっていく”光の広がりの変化”。
もうひとつは、深い青から始まり、やがて光に満ちた暖色へと移ろう”色彩の変化”です。

これまであまり演出対象とされなかった石組や島といった庭園の構造物、また庭園の地割そのものに光を当てることで、造園当初から変わらぬ“庭の記憶”を静かに浮かび上がらせました。

会場サウンド

音の設計は、”水の中にいるような感覚”を軸に、庭園が持つ“海の記憶”と呼応するよう構築しました。

通常時(インターバル)は、エリアごとに異なるサウンドを配置し、空間ごとの表情を音で描写。
波音のような直接的な表現ではなく、たとえば藤棚エリアでは“サンゴが擦れ合う音”など、感覚に訴える間接的な音で侘び寂びを表現しました。

一方ショータイムでは、庭園全体を包み込むような優雅で雄大な音世界を展開。
インターバルとの対比を通して、光と音が織りなす立体的な時間の流れを創出しています。

公式WEBサイト

公式Webサイトでは、イベント同様に”庭園をめぐる体験”をオンライン上でも感じられるよう設計。
ページ全体に旧芝離宮の風景を散りばめ、マウス操作に応じて視点が移動するインタラクションを通じて、まるで庭園を歩いているかのような没入感を演出しました。

カーソルが光のように振る舞う演出は、ユーザー自身の動きが庭園を照らし出すという体験に変換され、「ひかりめぐる庭」の世界観をWeb上で体現。
黒を基調としたデザインにより、光と歴史が際立つ静謐かつ動きのある空間を構築しています。

さらに、カーソルが光のようにふるまうインタラクション演出を加えることで、ユーザー自身の動作が「光で庭園を照らし出す」という体験に変換され、タイトルコピー「ひかりめぐる庭」をWeb上で具体的に体現しています。
サイト全体は黒背景を基調にし、光の演出と歴史的景観が際立つビジュアル設計を採用。静謐でありながらも、インタラクティブに"動き"を感じられる、静と動の共存を意識した設計となっています。

https://yakai.1-10.com/shibarikyu/

イベント概要

【イベント名】 旧芝離宮夜会 by ワントゥーテン 〜ひかりめぐる庭〜
【WEBサイト】 https://yakai.1-10.com/shibarikyu/
【開催時期】 2025年5月22日(木)~5月25日(日) 18:30〜21:30(最終入場21:00)
【開催場所】 旧芝離宮恩賜庭園 東京都港区海岸1-4-1
【入 場 料】 前売チケット:1,000円 / 当日チケット:1,200円
【主  催】 公益財団法人東京都公園協会
【総合演出】 株式会社ワントゥーテン
【共  催】 一般社団法人竹芝エリアマネジメント、一般社団法人芝浦エリアマネジメント、一般社団法人浜松町芝大門エリアマネジメント、株式会社ワントゥーテン
【後  援】 竹芝地区まちづくり協議会
【特別協賛】 株式会社アートブレーンカンパニー
【飲食協賛】 THE PLACE of TOKYO
【協  賛】 鹿島建設株式会社、清水建設株式会社
【協  力】 一般社団法人竹芝タウンデザイン、一般社団法人CiP協議会
【制作協力】 西尾レントオール株式会社

GALLERY

少し先の未来をつくる。1→10lab

エンジニア目線から考える「ひかりめぐる庭」について、以下の記事も合わせてご覧ください。

『旧芝離宮夜会』の舞台裏。UE5と3Dスキャンを用いた、サイトスペシフィックな空間演出の開発ワークフロー
https://labs.1-10.com/2025/07/18/5200

光を設計する ─ フォグとレーザーでつくる屋外インスタレーションの実装プロセス
https://labs.1-10.com/2025/07/25/5198

CREDITS

総合演出
株式会社ワントゥーテン
Producer
三木 慶悟、三木 康博
Director
三木 康博
Project Manager
角田 一樹
Digital Art Director
稲田 優太、川村 崇
Technical Director
仁科 聡
Special Thanks
村上 琢哉
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▼ライトアップショー「ひかりめぐる庭」
Lighting Direction / Design
株式会社アートブレーンカンパニー
Sound Designer
林 響(TOYOMU)
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▼藤棚「棚間の記憶」
Technical Artist
川村 崇
Lighting Direction / Design
株式会社アートブレーンカンパニー
Hardware Engineer
持田 寛太
機材協力
エプソン販売株式会社
Special Thanks
木田 尊也
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▼雪見灯籠「石灯の記憶」
Lighting Direction / Design
株式会社アートブレーンカンパニー
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▼馬場跡「ABC × Kenichiro Nishihara」
Lighting Direction / Design
株式会社アートブレーンカンパニー
ーーーーーーーーー
▼枯滝「石組の記憶」
Visual Artist / Direction
稲田 優太
Software Engineer/ Direction
仁科 聡
System Integrator
下田 裕幸
機材協力
エプソン販売株式会社
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▼弓道場
Direction / Lighting Design
株式会社アートブレーンカンパニー
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▼会場全体
Lighting Direction / Design
株式会社アートブレーンカンパニー
Sound Designer
林 響(TOYOMU)
会場施工
西尾レントオール株式会社
運営
株式会社トータルブレーン
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▼Graphic
Art Director
鎌田 優作
Designer
株式会社VICO
Photograph
株式会社アウトナンバー
Special Thanks
坂能 光希
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▼Website
Art Director
鎌田 優作
Designer
井原 健志(free-lance)
Frontend engineer
小川 哲郎(free-lance)

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